テーマ:小説

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス)

私が本書「アルジャーノンに花束を」を初めて読んだのは、随分前になる。本書は何年か前に新版となったのだが、しばらく前に、改めて読みなおしてみた。そしてそのとき、以前読んだとは違う思いをしみじみ感じた。 今から思えば、前回この小説を読んだときは、人生の喜びも悲しみも分かっていなかった。もちろんそれは、今でも分かっていないのかもしれない…
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クリスマス・キャロル (チャールズ・ディケンズ)

いよいよ明日、元号が平成から令和に変わる。元号に意味はないと考えることもできるが、それでも一つの時代の区切りを表すものなのではないか。するとその移り変わりは、いわば生まれ変わりを連想させずにはおかない。そう考えるといろいろな物語のことが思い浮かぶが、このエントリでは、ディケンズによるクリスマス・キャロルについて書いてみたい。 と言…
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へんろう宿 (井伏鱒二)

以前,といってももう2か月も前になるが,私の note で,井伏鱒二について触れた.今回のエントリでは,その作品について,もう少し書いてみたい. 井伏鱒二の作品としては,「黒い雨」や,教科書にもよく載る「山椒魚」の二つが最も有名だろう.しかしながら,私がまず思いつくのは,「駅前旅館」や「へんろう宿」という,二つの小説である.この記…
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生涯に一度の夜(レイ・ブラッドベリ)

1, 2週間ほど前,HTTPのステータスコード451が話題になった. 政府の検閲で消されたページを表わす「451エラー」がスタート - GIGAZINE http://gigazine.net/news/20151222-http-status-code-451/ このステイタスコードは,レイ・ブラッドベリの「華氏451度…
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本をあまり読まない中高生に薦めたい10作品(その2)

(その(1)からの続きです) 僕に踏まれた町と僕が踏まれた町 中島らもの作品として「ガダラの豚」がよくお勧めされますが,鉄板すぎてチョイスとしては食傷気味ですね.そのかわりに,ここではこの作品をお勧めしたいと思います.著者のエッセイ集ですが,ひとつひとつのエッセイが短く,本を読まない中高生でも気楽に読めると思います.そして,…
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本をあまり読まない中高生に薦めたい10作品(その1)

学生の皆さんはそろそろ夏休みですね.そこで,本を少しでも読んでもらおうと,某ブログ界隈では,中高生にすすめる作品リストというネタが一部で盛り上がっているようです.面白そうなので,私もエントリを書いてみることにしました. 方針としては,普段あまり本を読まない中高生に対して,読書に興味をもってもらえるような作品(なおかつ,似たようなブ…
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酒虫 (芥川龍之介)

この季節はとにかく暑くて湿度が高く,一年を通じて最も嫌な時期である.外出すると,息をするのも苦しいような暑さと湿度のため耐えられないような気分になり,さらに,汗でシャツがじっとりとしてくると,それがまた不快さを増大させていく. こういった暑い日によく思い出す小説が芥川龍之介の「酒虫(しゅちゅう)」という短編小説であり,今回のエント…
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暖簾 (山崎豊子)

小説家の処女作にはその作家のすべてが含まれるといったことは,よく言われることだ.もちろんすべての小説家にあてはまることではないけれども,そのように考えてみると,何人かの小説家のことが思い浮かんでくる.ここでは,そうした小説家であろうと私が考える,山崎豊子と,その処女作「暖簾」(のれん)について書いてみたい. 私が初めて山崎豊子の小…
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二,三羽 ―― 十二,三羽 (泉鏡花)

昨日,以下のエントリが話題となっていた: スズメたちの会話が聞こえてきそう!スイスの郵便配達員のおじさんが庭で撮影した対話するスズメたち http://karapaia.livedoor.biz/archives/52075488.html このエントリを読んで,泉鏡花の短編「二,三羽 ―― 十二,三羽 」を思い出した.例…
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桜の森の満開の下 (坂口安吾)

大学のとき文学部の友人が卒論のテーマとして坂口安吾を選び,そのつきあいで,坂口安吾の小説はだいたい読んだと思う.しかし,今となっては,坂口安吾の有名ないくつかの作品について,ぼんやりと覚えている程度である.ところが最近,スマートフォンや iPad などで青空文庫を簡単に読むことができる環境が充実してきていることもあって,ふたたび坂口安吾…
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坊っちゃん (夏目漱石)

先日のエントリ(仰臥漫録 (その2))で夏目漱石の「坊っちゃん」に少しだけふれたこともあり,あらためて読み返してみた.この小説は何度か読んだが,最後に読んでから,かれこれ20年ほどにもなるのではないか.読了後,いろいろと思うことがあったので,ブログの記事にしてみたい. 「坊っちゃん」のストーリーは,単純明快である.「親譲りの無鉄砲…
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母の眼 (川端康成,「掌の小説」所収)

以前,掌の小説 (川端康成) というエントリを書いたのですが,それに対して以下のようなコメントをいただきました. はじめまして、 あの、、、『掌の小説』の中で母の眼という作品について聞きたいことがありまして、 何の意味かなかなか分かりませんね。ですので、あなたの考えがほしいんです。 たとえば、このタイトルはなぜ母の眼な…
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手鎖心中 (井上ひさし)

井上ひさしの作品は,特に大学生のころ熱心に読んだ.井上ひさしについてはいろいろと言われることはあるが,その作品はやはり一流のものであると思う.その作品世界には強くひかれるものがあり,私にとって,単に好きという以上に思い入れのある作家の一人である.今でも本屋に行くと,必ずその作品を探すのだけれども,最近は本屋の棚に並んでいることが少なく,…
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山月記 (中島敦)

本屋やネットなどで,泣ける話の特集といったものを定期的に見かける.それなりに需要があるのだろう.そこで,私にとって泣ける話や小説はなんだろうかと考えているうちに,ある小説の書評を書いてみたくなった.泣ける話とは趣旨がずれるのだけれども,私には,読む度にいつも一滴(ひとしずく)の大きな涙を感じる小説がある.それが,中島敦の山月記なのである…
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野ばら (小川未明)

小さいころの夢は何だったのか,ときどき考えることがある.昔から本を読むことが好きだったので,本を読み,何かを書くような仕事につきたいと子供ごころに考えていたように思う.小学生のころの知識で思いつくそのような仕事といえば,学者や小説家などであろうか.しかし,自分には小説の才能はないだろうという確信みたいなものがあった.もちろん,学者として…
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桜の樹の下には (梶井基次郎)

ここ数年ほどは,新しい小説を読んでも感動することがほとんどなくなった.むしろ,専門書を読むほうがはるかに面白く感じるようになっている.自分が感受性の衰えた無機質な人間になっていくようで,さびしいような思いがある. こうしたとき,よく読み返すのが,梶井基次郎と中島敦の作品である.このエントリでは,梶井基次郎の「桜の樹の下には」につい…
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MENSURA ZOILI (芥川龍之介)

POP*POPというブログを楽しみに読んでいるのだが,そのブログに以下のような記事があった: 芸術の価値を算出する?!MITの発明、『ART-O-METER』 ART-O-METER は,MITで発明されたガジェットで,芸術作品の評価をしてくれるという.ただ,その原理は簡単なもので,芸術作品の前で人々が立ち止まった時間を測定…
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こころ (夏目漱石)

今回,別の本の書評をしようと思ったのだが,つい手に取った夏目漱石の「こころ」を読んでしまい,どうしてもそれについて書きたくなった. この小説は,(今はどうか知らないが) 教科書にも採録され,読書感想文のために読んだ方も多いだろう.漱石の作品の中でも,「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」と並んで,最もよく読まれているものではなかろうか.…
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飢餓海峡 (水上勉) - その2

(その1からの続き) それから10年の月日がたった.犬飼は,樽見京一郎と名を変え,強盗殺人で得た大金を元手にして,事業家として成功していく.そんなある日,八重は新聞で樽見の記事を見かけた.名前こそ樽見であるが,写真の面影は,どうしても犬飼多吉にしか見えない.八重は,胸を躍らせ,今までの礼を述べるため,樽見に会いに赴く.だが,樽見は…
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飢餓海峡 (水上勉) - その1

今まで,自分の好きな作家の作品について,いろいろ書評を書いてきた.しばらくは,これまで取り上げていなかった作家の作品を優先して,書評を書いていきたいと考えている.思ったほどのペースでは書けていないため,いつまでたっても終わらないような気もしてきたのだが,マイペースで続けていきたい.今回は,私の好きな作家である水上勉の代表作,「飢餓海峡」…
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駈込み訴え (太宰治)

先日,ダ・ヴィンチ・コードに関するエントリを書いた.ダ・ヴィンチ・コードでは,イエス・キリストとマグダラのマリアに対するある説をベースに,物語が展開していく.それで,太宰治の小説「駈込み訴え」を思い出したので,今回はそれについて書いてみたい(ちなみに,「駆込み訴え」ではなく「駈込み訴え」が正しい作品名のようだ(「駈」は常用外漢字).恥ず…
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塔 (福永武彦)

人からすすめられて面白かった本(参照: 美しい星)についていくつか書いてきた(といっても三作品だけだが…).しかし,次に書いてみたい本がいま手元にないので,今回は別の本(福永武彦「塔」)について書くことにしたい. 「塔」は,福永武彦の初期短編集である.私が持っているものは河出文庫であるが,いま調べてみるとやはり品切・重版未定となっ…
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美しい星 (三島由紀夫)

人から本や音楽を薦められて,それがその人の意気込みほどには面白くなく,困惑することがある.先日も,ある(現代の)人気作家の作品を薦められて読んでみたのだが,とても面白いとは思えないということがあった.最初の何章かで展開が読めてしまい,結末まで予想どおりだったのである.Amazon のレビューなどでも評価は二分しているようだ.その後,感想…
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それから (夏目漱石)

一番最初に読んだ夏目漱石の本は,「坊ちゃん」であった.中学生のころだったのではないか.落語的な独特のユーモアと痛快なストーリーが単純に面白かったような記憶がある.それから,「こころ」,「我輩は猫である」の順で読んでいったように思う.夏目漱石作品の,一般的な読書経験ではなかろうか. 夏目漱石の作品を夢中になって読み始めたのは,大学生…
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大いなる助走 (筒井康隆)

以前,松本清張の「或る『小倉日記』伝」について書いた.今回,松本清張のつながり(知る人ぞ知る)で,筒井康隆の「大いなる助走」(新潮文庫)について書いてみたい.私は,筒井康隆の愛読者である.旅行などの際に読みたくなれば,たとえ持っている本でも買ってしまうので,同じ本を何度も買うことも少なくない.私の友人にも筒井康隆の愛読者は多いようだ. …
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或る「小倉日記」伝 (松本清張)

昔,小倉 (福岡県北九州市) の近辺(?)に住んでいたことがあった.おととし,小倉に行く機会があり,時間があいたついでに,松本清張記念館を訪れてみた.この記念館は,小倉城のすぐそばにある,瀟洒な建物である.今回は,松本清張の「或る『小倉日記』伝」(新潮文庫)について書いてみたい. 松本清張は,1909年北九州市小倉北区(旧小倉市)…
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青が散る (宮本輝)

以前のエントリ (「蛍川」) に引き続き,宮本輝の作品について.宮本輝の作品には思い入れがあるものが多く,このブログで次にどれを取り上げようかと考えるとき,いろいろと迷ってしまう.そんな中でも,今回は宮本輝の「青が散る」(文春文庫)について書く. 「青が散る」は,大阪郊外の新設私立大学を舞台とした,椎名燎平とその仲間たちの青春小説…
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蛍川 (宮本輝)

このブログを書き始めてから,今まで読んできた,あるいはこれから読む本について,いろいろ思ったこと考えたことを書き留めておきたいと思うようになってきた.そう思うと,今まで読んできたいろいろな作家のいろいろな作品が思い浮かび,そのときの思いがあふれてくるような気がする.そのようなすべての作品について書いていたらきりがないような気がするが,こ…
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掌の小説 (川端康成)

「掌の小説」(新潮文庫)は,川端康成が40年にわたって書き綴った,111篇の短編が収められた短編集である.このブログの前のエントリでも述べたように,川端文学の真髄が最も端的に表れるのはその短編集であるように思われる.「掌の小説」は,その最高峰といってよいだろうと思う.ここでは,111篇の短編の中から,特に感銘を受けた作品について書いてみ…
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愛する人達 (川端康成)

皆さんは,「珠玉」という言葉を聴くと何を思い浮かべるだろうか.小説に限って言えば,私が思い浮かべるのは,福永武彦の作品である.また,宮本輝,川端康成,井上靖にもそういう作品は数多い.ここでは,川端康成の短編集「愛する人達」(新潮文庫)について書いてみたい. 川端康成といえば,いわずと知れたノーベル文学賞作家である.雪国などの数多く…
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