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zoom RSS I Dreamed a Dream (レ・ミゼラブル)

<<   作成日時 : 2013/08/17 16:27   >>

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「レ・ミゼラブル」(Les Miserables)は私にとって特別な小説であり,今まで繰り返し読んできた.この小説についてはそのうちに書いてみたいと思っているし,また有名な小説でもあるので,その概要については,Wikipedia のエントリなどをご覧いただくとして,今回のエントリでは,特にそのミュージカルについて書いておきたい.

実を言えば,私は,映画は好きであるが,ミュージカルや演劇にはあまり食指が動くことはなかった.ところが,2012年に公開されたレ・ミゼラブルの映画が,DVDやブルーレイになり今年の6月に発売されたことから,ふとした興味を持って購入してみた.この映画は,レ・ミゼラブルの世界的なミュージカルに基づいた,いわゆるミュージカル映画である.キャスティングも豪華であるし,映画としての出来はすばらしい.

ただ,あえて難を言えば,プロのミュージカル歌手ではなく,ハリウッドの俳優が歌っているので,その歌唱力に納得できないところがよくあった.特に,ジャベールという重要な役割を演じたラッセル・クロウが残念である.グラディエーターのときのラッセル・クロウは素晴らしかったのだが….むしろ,ミュージカル形式ではなく,普通に映画化したほうがよかったのではないか.

そこで,レ・ミゼラブルのミュージカルに興味が出てきたので,その10周年コンサートのCD(輸入版CDである.日本リージョンのDVD等は絶版のようだ)と25周年コンサートのDVDを購入してみたのである.(レ・ミゼラブルのミュージカルが現在の形で初めて上演されたのは1985年ということだ)

これが,予想をはるかに超えるほどの素晴らしさであった.誇張なく率直に感想を言いたいのだが,やはり,予想を超えるような衝撃を受けたと言わざるを得ない.もちろん,それは,私がミュージカルについて初心者であるということを割り引かなければならないだろう.それでも,歌というものがこれほど力を持ち,聴くものの心を震わせるものであるということを,長い間忘れていたような思いがしたのだ.

このような思いを言葉で表すのは難しい.そこで,レ・ミゼラブルのミュージカルは名曲ぞろいなのであるが,ここではその中の一曲「I Dreamed a Dream」だけ紹介したい.

I Dreamed a Dream は,レ・ミゼラブルの主要な女性登場人物ファンティーヌの画像生涯を歌にしたものである.ファンティーヌは,恋人に捨てられた後,その男性との子(娘)コゼット(右の絵)を産む.だが,ファンティーヌは,女手一つでコゼットを育てることはできず,その養育費を捻出するため,とうとう娼婦にまで身を落とす.そして,そんな境遇に堕ちても,ファンティーヌは,娘コゼットへの愛を失うことはなかった.ファンティーヌこそ,レ・ミゼラブル(悲惨な,哀れな人々)でありながら,人間としての光と愛を失うことのなかった,まさにこの小説で描かれるところの,真のレ・ミゼラブルの一人なのである.

話を元に戻すと,I Dreamed a Dream は,ファンティーヌの若いころの,夢と愛に満ちていたときに思いをはせ,そのころに戻れたらという叶わぬ思いと,娼婦にまでおちぶれた現在の境遇に対する絶望を,歌にしたものである.

しかし,そんな説明をする自分がもどかしくてならない.この歌の魅力は,そんな説明では伝えきれない.この歌は,そんな小賢しい説明など彼方におくかのように,圧倒的な力で聴く者に迫ってくるのである.

I Dreamed a Dream はさまざまな歌手によってカバーされたが,ここでは,レ・ミゼラブル(ミュージカル)の10周年記念コンサートから,ファンティーヌ役を演じたルーシー・ヘンシャル(Ruthie Henshall)の歌の youtube 動画を載せておきたい.





まさに,世紀の絶唱である.私は10周年コンサートのCDで初めてこの歌を聴いたとき,感動のあまり震えるような思いがした.それから何度も聴いているが,この思いはまったく色あせるということがない.

ルーシー・ヘンシャルは,日本のネットではあまり情報が見当たらないようだ(なので,このエントリを書いたのは,彼女のことをもっと知って欲しいという理由もある).日本語の Wikipedia では項目もない.なお,英語の Wikipedia にはもちろんRuthie Henshall の項目はあり,また,公式サイトもある.一方,ミス・サイゴンで主役となり,レ・ミゼラブルでもファンティーヌやエポニーヌ役を演じたこともあるレア・サロンガ(Lea Salonga)は,もう少し有名であるようだ.

いずれにせよ,ルーシー・ヘンシャルの歌う I Dreamed a Dream は,本物である.圧倒的な歌唱力でもって紡がれるその歌声によって,我々はいつしか心を奪われてしまう.そして,本物の歌だけが持ちうる巨大な熱量が,我々に伝わってくる.文字どおり,本当に震えてくるのだ.その熱量は,心の中にくすぶっていたものに火をつけ,その熱狂により,我々は,空を飛べるようになるのである.そして,ファンティーヌの絶望,苦悩,後悔という,重く暗澹とした思いは,この歌により,一段高く昇華され,光と熱をまぶしく帯びるようになる.それは,恋に破れた人や,昔の夢が叶わず,意に沿わない人生を送っている人たちの共感を呼び起こすだけでなく,より普遍化した思いとして,すべての人の心を,心の底から揺さぶるのである.それでいて,ルーシー・ヘンシャルの歌声は,聴くものを圧倒するような力を持ちつつも,優美であり気品を失うことがない.それは,これこそ,まさに,奇跡の配合とでも言うしかない.我々ができるのは,押し寄せる歌の波の中で,ただただ畏怖し,震えながら,圧倒され,感動することだけなのである.



なお,I Dreamed a Dream はさまざまな歌手が歌っているが,そのいくつかについては以下にまとめられていた:

【レ・ミゼラブル】”13人”のアーティストによる『I Dreamed a Dream』(夢やぶれて)
http://matome.naver.jp/odai/2135667616033658901



だいたい聴いてみたのだけれども,やはりルーシー・ヘンシャルが圧巻だと思うのだが,どうだろうか.なお,サラ・ブライトマンが I Dreamed a Dream を歌っているのならぜひ聴いてみたいと思ったのだが,youtube では満足できるものを見つけることができなかった.


今回,CDやDVDではあるものの,ミュージカルというものに触れてみたのは,得がたい経験であった.ミュージカルや演劇に対する蒙を啓かれたような思いがしたのはもちろんのこと,この年になるまでさまざまな経験や感動を積み重ねてきて,それなりに今後は枯れていくような予感もあったところに,このように心の底から震えるほどに感動することがあろうとは,予想外のことであり,自分自身にもそのような感受性がまだ残っていたのかと,正直驚くような気がした.本物の歌というのは,魔力を持つものだと,一抹の恐ろしさのようなものすら感じたのであった.







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DVDではなく,輸入版CD (しかも歌詞カードなし)なのでご注意ください


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